◆哲学も含めた魅力的な特性と安心感や希少性が成功の鍵
「ブランドが成功するキーワードは二つ。それは『尖り』と『抑え』です」
マーケティングやブランド構築の戦略コンサルティングに携わる桑畑穣太郎さんは四天王ブランドが市場で優位性を誇る理由をこう推測する。
「今の時代、成功するブランドはまず上位顧客となる熱心なファンをしっかりと捕まえます。四天王ブランドはそれがきちんとできているように思えます」
なるほど四天王ブランドにはいずれもコアなファンがいるが、二つのキーワードはどう関連してくるのだろうか。
「『尖り』とは顧客がそのブランドでしか味わえない特性です。製品の優秀さはもちろん、ブランドの哲学や歴史が明確で、方向性にブレがないことも大切です。数年前、私がパテック フィリップをインタビューで訪れた際、製品が作られる工程・歴史的な歩みといった事実をありのままにお話いただきました。内容はどれも驚くべきものでした。そんな驚異的な事実の積み重ねを聞くことで、顧客は時計を装着するたびに、この上ない感情を抱くように思えます。蘊蓄を語りたくほどに、思い入れも強まります」
これまで四天王それぞれが伝説や神話を積み重ね、高品質とともに熱心なファンを生んだ。しかし、『抑え』を欠いてはならないと桑畑氏は言う。
「特に重要なのは安心感。これを使えば大丈夫という定番性やアフターサービスですね。さらに製品の希少価値を守ること。それには過剰なメディアへの露出は避け、口コミなどでブランドにふさわしい人に情報が伝わるようにします。アイテムを絞り、価格基準も堅持します。上位顧客は安心感と希少価値に納得して製品を買うものです」
現在の時計業界には「抑え」のないブランドが乱立している。そんな中で「尖り」と「抑え」を併せ持つ四天王には追い風が吹いているのだ。


